2017年度安全報告書
2017年度 安全報告書
この安全報告書は、航空法第111条の6の規定に基づき、AIRDO(エア・ドゥ)の安全確保のための取り組みや安全の実態をまとめ、ご利用のお客様に広くご理解頂くとともに、会社のさらなる安全意識の向上および安全への取り組みのいっそうの促進を図るために公表するものです。
株式会社AIRDO
この安全報告書は、航空法第111条の6に基づき、当社の安全への取り組みをまとめたものです。
「2017年度 安全報告書」の発行にあたって
平素よりAIRDOをご利用頂き、誠にありがとうございます。
「2017年度 安全報告書」を作成しましたのでぜひご一読いただき、AIRDOの安全に関わる取り組みについてご理解賜りますよう、
お願い申し上げます。
2016年度から始まった三カ年の中期経営戦略では、「守りから攻めの安全へ~再発防止から未然防止へ」をテーマに、一年目は『安全行動指針の浸透』、二年目は安全行動指針の行動化として『安全行動指針における弱点を認識し、強みに変える』ことを目指して活動して参りました。
最終年度である今年度は、安全行動指針の行動化をさらに深化させ、『埋もれているリスクの掘り起こしと、先取りした安全対策の推進を図る』ことに取り組んで参ります。
また、昨年に引き続き各職場の活性化により安全意識の高揚を図ることを目的とした活動も推し進め、安全最優先の企業風土の構築に
努めて参ります。
AIRDOでは、「安全を絶対的使命として追求する」ことを企業理念の冒頭に掲げ、就航以来、無事故・重大インシデント0件を維持して参りました。
今後も、「当たり前のことを、愚直に、地道に、着実に実行する」をモットーとして安全運航に取り組み、お客様に安心してご利用いただける航空会社を目指して参ります。
これからも、皆さまの変わらぬご愛顧とともに、一層のご指導ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
1.安全に関する基本方針
1-1 企業理念・安全行動指針
弊社は、企業理念の冒頭において「安全を絶対的使命として追求します」との決意を述べ、この理念の下、会社として航空の安全を追及しています。
企業理念
- 安全を絶対的使命として追求します
- お客様に感動していただける空の旅を提供します
- コスト意識を持って企業競争力を強化します
- 人を活かし育み、活力ある企業風土を創造します
- 北海道の翼として地域社会の発展に貢献します
弊社は、企業理念に掲げている「安全を絶対的使命として追求」するため、安全行動指針を定め、全役職員がこの安全行動指針に従い、業務を遂行しています。
安全行動指針
- 曖昧な判断はせず、確信がない場合は安全を最優先に行動します
- 情報は迅速かつ的確に報告し、組織を超えて共有します
- 周囲の意見に耳を傾け、自分の考えを声にして、コミュニケーションを大切にします
- 教訓から学び、自覚と責任を持ってプロフェッショナルとしての技倆を高め続けます
1-2 安全方針
経営の最高責任者(代表取締役社長)は、安全最優先の決意を示した「安全方針」を設定しています。
2017年度安全方針
航空会社にとって、安全は何ものにも代えがたい、会社存立の基盤であり、絶対的使命として何よりも優先させるべきものです。
当社の「企業理念」では冒頭で、
安全を絶対的使命として追求します
と謳い、安全最優先の固い決意を表しております。
2016-2018年度の中期経営戦略では「守りから攻めの安全へ~再発防止から未然防止」をテーマに掲げています。今年で2年目を迎える2017年度の安全方針は、継続性を考慮し、2016年度と同様とし、更なる社内文化への定着に努めます。
安全方針
- 安全行動指針の更なる浸透
- 安全行動指針に基づく行動化
重点施策
- 安全推進活動の基盤となる職場改善活動を通じた人づくり・組織づくり
~航空業界人としての緊急知識取得、変更管理定着化、職場改善による職場の活性化~
安全指標・安全目標値
- 「事故・重大インシデント 0件」
- 「VOICESへの報告件数 前年実績以上」
- 「出前講座(機内緊急事態発生時の援助方法)受講率100%」※3年間で達成
今年度の安全指標・安全目標値に新たに客室部による「出前講座」の受講率100%を設定しました。これは2016年度に発生した他社の緊急脱出事案を教訓に、航空会社社員として、緊急時に求められる最低限必要な知識を確認し、理解を深めることを目的としています。
実際の機内緊急事態発生時においては、同乗している社員等による客室乗務員等の保安要員への協力が、お客様の安全を確保する上で必要不可欠であることを全社員の皆さんに認識していただくとともに、当社の安全への取り組みを身近に感じていただくことを期待しています。新年度も全社一丸となって安全指標・安全目標値を達成し、「日本一安全な航空会社」を目指しましょう。
2.安全確保の体制
弊社は、航空法に基づき、「安全管理規程」において、安全管理の方針、体制、実施方法について定めています。また、安全統括管理者を選任し、経営トップから運航、整備、客室、空港業務などに直接携わる社員を含む会社全体で、航空輸送の安全に対し組織的に取り組む「安全管理システム」(以下「SMS」という。)を構築しています。
2-1 安全管理システムの概要
弊社におけるSMSとは、会社の運航安全の方針や目標を定め、体制を整備し、実行し、その結果を評価することにより、会社組織が一体となって、継続的に安全の確保および改善をはかる仕組みをいいます。
この仕組みにおいて、P(PLAN:計画)、D(DO:実施)、C(CHECK:問題把握)、A(ACT:改善)のサイクル(PDCAサイクル)を継続することにより、運航の安全の維持・向上を目指します。
弊社の「安全管理規程」では、PDCAサイクルについて、次のように定めています。
- 安全方針
企業理念に基づき、会社の安全に係わる基本的な方針および目標を設定し、運航の安全についての組織および責任と権限を定めるとともに、SMSの適切性、妥当性および有効性を確保し、継続的改善を図っていくためのマネジメントレビューを設定する。 - 運航体制
運航体制の維持および改善を図り、SMSの有効性を継続的に改善するために必要な資源の供給について定める。さらに運航の安全・品質に係わる業務の実施基準・手順の設定について定める。 - 運航の実施/運送の提供
日常的に運航の実施・運送の提供の業務に従事する社員についての具体的な行動基準を定める。さらに運航の安全に係わる日常的な業務の外部委託に対する管理について定める。 - 問題把握と改善
運航の実施・運送の提供に伴う問題点の把握、継続的な再発防止対策および未然防止対策の実施による運航の安全性向上ならびに内部安全監査による定期的なSMSの改善について定める。さらに、SMSを有効で効果的なものにするための安全推進の一般的な種々の活動について定める。
2-2 安全確保に関する組織
弊社の安全確保の組織体制は、以下に示すとおりです。
組織図と従業員数 (2018年3月31日現在:910名)
※短時間契約社員、派遣社員を除く
安全推進室 | CS推進室 | 総務部 | 営業本部 | 技術本部 |
---|---|---|---|---|
20名 | 5名 | 15名 | 32名 | 348名 |
業務監査室 | CSR企画推進室 | 企画部 | 運送本部 | |
3名 | 9名 | 28名 | 450名 |
運航に携わる各職種の人数 (2018年3月31日現在)
職種 | 人数 | |
---|---|---|
運航乗務員 | 127人 | 派遣社員(2名)含む |
客室乗務員 | 229人 | |
整備従事者 | 95人 | うち確認主任者等(72人) |
地上運航従事者 | 26人 | うち運航管理者(20人) |
※運航および整備に係わる委託先の人数は除く
2-3 責任と権限
安全の維持・向上を目的とするSMSの継続的な改善を図り、安全を確保するための、委員会組織、役職者、社員の責任と権限は以下のとおりです。
-
安全推進委員会
すべての常勤役員、生産部門の本部長等により構成され、会社の安全に係わる重要事項の最高決議機関として、原則、毎月1回開催しています。安全に関する基本方針を策定し、安全重点施策の実施状況や達成状況を確認、その結果に基づき会社全体の安全対策の確認、監視、助言、勧告、指示を行います。
-
社長(経営および運航安全に関する最高責任者)
「安全は経営の最優先事項である」旨の「安全方針」を明示し、安全に対するコミットメントを社内に深く浸透させるとともに、安全に関する総まとめとしてマネジメントレビューを定期的に実施し、SMSの継続的な改善を図っています。
-
安全統括管理者
経営の立場から、SMSの継続的改善を推進し、安全の監視を行い、社長のマネジメントレビューを支援しています。
-
生産部門の部門長
自部門内の安全に関する責任者として、部門内の業務プロセスや手順を設定し、確実に実施・維持します。また、不安全事象の再発防止活動および未然防止活動を部門内において実施します。
-
管理職者
部下に対して安全方針・目標、安全情報の周知ならびに業務への具体的展開を行うとともに、規定に則った業務遂行の管理、および規定遵守のための環境整備を行います。また、業務に係わる不安全要素の報告奨励と動機付けを行います。
-
一般職
安全行動指針に従い、担当する業務を確実に行います。また、不安全要素の報告および改善の実施または提案を行います。
2-4 各組織の機能と役割の概要
各部門の機能と役割は以下に示すとおりです。
-
安全推進室
安全に対する経営の方針に基づき、安全に係わる問題について社内各部門および社外の関連する諸機関との調整を行い、会社のSMSの推進と継続的な改善等の具体的な指揮を行います。また、社内安全監査や実運航データに基づくモニターを担当し、必要な教育や助言等を実施します。
-
技術本部
会社の経営方針に基づき、運航・整備部門に関する生産業務全般を担当し、安全運航の徹底と経済的な生産業務を遂行するとともに、空港部門の業務円滑化のために援助を行います。
-
運送本部
会社の経営方針に基づき、運航管理・客室・空港部門の生産業務全般を担当するとともに、航空保安の徹底ならびに顧客ニーズの取りまとめを行います。
3.安全確保への取り組み
3-1 運航に携わる各職種の定期訓練および審査の内容
弊社では、日常運航に携わる職種ごとに以下のような教育や訓練などを定期的に実施し、運航の安全を確保しています。
運航乗務員
運航乗務員は、入社後、訓練生として数多くの訓練と審査を経て副操縦士に昇格し、そこで十分な経験を積んだ後にさらに厳しい訓練と審査を繰り返し、機長へと昇格していきます。昇格して業務についた後も、緊急事態を想定した訓練や、運航に必要な知識、操縦能力、判断力などを定期的に確認する審査、さらには厳しい航空身体検査も義務付けられています。
定期訓練では、能力維持と向上を図るため、半年に1度、フライトシミュレーターを用いた訓練を行っています。その訓練には、いかなる状況下でも適切な対応ができるよう、通常は経験することのない異常な状態や緊急な状態等をシミュレーターで再現する内容も含まれています。また、1年に1度、定期学科訓練やCRM訓練(注)を実施し、知識や技術のリフレッシュを図るとともに、緊急時における乗務員相互のコミュニケーションや連携、リーダーシップなどについて訓練し、運航乗務員としての能力向上に努めています。また63歳以上の運航乗務員は、これらの定期訓練に加えて加齢付加定期訓練を半年に1度、フライトシミュレーターを用いて訓練を実施し、緊急時の操作等について能力の維持・向上に努めております。
定期審査では、運航乗務員として必要な知識及び能力を有しているかを判定するため、技能審査と路線審査を年1回ずつ受け、合格することが求められます。
弊社では指定本邦航空運送事業者としての指定を受けた2006年8月以降、定期的に実施される機長の資格審査については、国の審査官に代わって国土交通大臣の指名を受けた自社の査察操縦士が実施しています。安全に対する高い意識と全社一丸となった取り組みにより、厳格な審査を実施しています。
- (注)CRM(Crew Resource Management)訓練
- 乗務員を取り囲む利用可能なすべてのリソース(人、機器、情報など)を活用しチームとしての意思決定やコミュニケーション、リーダーシップの取り方などを学ぶ訓練。
客室乗務員
客室乗務員は、機内における保安要員であり、そのために必要な各種訓練を受け、社内審査に合格した後、乗務資格を得ることができます。
客室乗務員としての能力維持と向上を図り、その資格を維持するための定期訓練と審査が毎年義務付けられており、保安訓練や非常救難対策訓練、CRM訓練等を実施しています。非常救難対策訓練では、緊急着陸水、火災、急減圧が起こった場合の対応や、非常口の操作、爆発物脅迫等に対する処置等を行い、書面と実技による審査があります。
また2016年度よりスタートした出前講座は、2017年度の安全目標に掲げられ、3年間で社員受講率100%を目標としています。本講座は、航空会社社員として機内緊急事態発生時において同乗している社員に求められる最低限必要な知識を確認し、理解を深める事を目的としています。訓練施設で行う非常救難対策訓練社員オブザーブと異なり会議室での開催となるため、実技よりも知識付与を中心とした内容となっています。
客室乗務員訓練の様子
整備従事者
整備業務は高度で専門的な知識や能力、経験が必要であり、作業に携わるためには資格が必要です。まず社内作業者資格を得た後、経験を積みながら、より高度な整備作業および確認行為が可能となる「一等航空運航整備士」「一等航空整備士」「確認主任者」という資格の取得を目指します。これらの資格は、必要な国家資格の取得後、さらに社内訓練や実務経験、審査の合格により社内資格が付与されます。
全ての整備従事者は、必要な知識の維持・向上を図るため、それぞれの持つ資格に応じた定期訓練(確認主任者、整備員、領収検査員、整備関係者等)を2年毎に実施し、航空法や社内規定の確認、品質管理や領収検査に関する事項、また近年発生した不具合事象の振り返り等を行っています。
整備士養成座学訓練の様子
地上運航従事者
地上運航従事者は、運航乗務員と連携して航空機の運航を決め、安全に目的地に到着するまでのサポートを行うために、専門的な知識や技能と資格が必要です。まず、「運航係員」や「運航支援者」として経験を積んだ後、国家試験である「運航管理者技能検定」に合格し、さらに社内訓練や審査を経て「運航管理者」として社内資格が付与されます。発令された後も、当該資格に必要な知識および技能水準の確認を目的として、毎年、定期資格審査を受け合格することが求められます。
定期訓練では、座学訓練として、運航管理に関する基本的事項(ヒューマンファクターズ、運航基準等)および冬季気象現象等について知識のリフレッシュを行っています。
また新しい機種、路線、運航方式が導入される際など、必要に応じて随時訓練を実施しています。
3-2 日常運航における問題点の把握および対応
日常運航での安全に係わる問題点の把握および全社的なフィードバックの体制については、以下の方法により全社的な対応を図っています。
-
安全推進委員会
安全推進委員会は、安全に係わる重要事項の最高決議機関として、安全に係わる重要事項の決定、マネジメントレビューの定期的な実施、組織を横断した情報の共有化等、SMSの推進・改善などを図るうえで重要な役割を果たしています。会議の席上では、日常運航における問題点について生産本部(技術本部・運送本部)の各部店から月次で報告され、再発防止策、未然防止活動実施状況の確認などについて討議され承認されます。合わせて、安全推進委員会委員長および安全統括管理者から安全に関する勧告や改善の指示が示されます。
-
安全部長会
安全部長会は、各専門機能(運航・整備・客室・空港)の主管部門長により行われる会議で、全社的にリスクの高い事象の把握と対応の進捗管理や、各専門機能におけるSMSの実施状況について共有し、組織横断的なSMSの推進を図ることを目的としています。
-
各専門機能における安全品質に関わる会議
各部門の安全品質に関わる会議を定期的に開催し、現場の再発防止策や未然防止活動の実施状況を把握するとともに、具体的なリスク評価を行い、安全部長会へ報告します。また、現場のSMS実施状況を把握し、部門間の意思疎通を図ります。
-
内部安全監査
会社のSMSが、適切かつ有効に機能しているか、また、環境の変化に応じて継続的に改善されているかどうかに着目し、SMSのPDCAサイクルの"Check:見直し"の機能を遂行しているのが内部安全監査です。弊社の内部安全監査は、各組織の個別業務および特定の機能に着目して社内横断的に実施する定期監査と、内部監査の機動性を活かして実施する臨時監査で構成されています。これらの監査業務を担当するのは、社内規程で定められた所定の訓練を修了して資格発令された内部安全監査員で、公平で客観的な監査を実施するため、各自の専門性と監査員としての力量の向上に努めています。
2017年度は計10回の定期監査を実施し、監査側と被監査組織が「協働」して、継続的改善のプロセスを進めています。 -
ANA社によるコードシェア監査
弊社は、ANA社との間で共同運航(コードシェア)を実施しております。このため、弊社の安全管理体制が、ANA社が要求する安全水準(国際的なIOSA基準を適用)を満たしていることを確認するため、ANA社より2年に1回、コードシェア監査を受審しています。
-
安全報告制度
弊社では、運航に障害を及ぼす可能性があるあらゆる事象について、その報告手順を定め、安全報告制度として運用しています。その概要は次の通りです。
- 法令上の義務報告
航空会社は、航空法により、「事故」「重大インシデント」「安全上のトラブル」などの「安全上の支障を及ぼす事態」について、報告が義務付けられています。 - 社内規定に基づく報告
直接運航に携わる社員は、機長報告、客室乗務員報告、運航管理者報告、整備不具合事象報告等による報告が関係規定類により義務付けられています。 - 自発報告
ヒヤリハット事象に関して、情報を収集し適切な対応を図り、不安全事象の未然防止活動に役立てるため、自発報告制度を設けています。
- 法令上の義務報告
-
飛行データ解析プログラム
運航の安全品質を向上させることを目的として、FOQA(Flight Operational Quality Assurance)プログラムを実施しています。このプログラムは、当社が運航する全ての便の飛行記録を収集し、解析・評価することで、日常運航の中の不安全要素を特定し、是正していくものです。また、収集した飛行記録をビジュアル画面に表示したDRAP(Data Review and Analysis Program)の機能を有効に活用し、その結果を運航乗務員および組織にフィードバックし、日々の安全運航の維持に役立てています。
-
各生産本部(技術本部・運送本部)での活動
日常運航における問題点は、各部門において、前述の安全報告制度により、組織的に把握されます。各部門では、報告された問題点に直ちに対処し、重要度に従って事例の周知、是正、再発防止策の対策を実施し、複数の本部にまたがる問題については、安全推進室が全社的な調整を図っています。いずれの場合も、安全に係わる重要な問題・事象は、安全推進委員会および航空局の所管部署に適時報告し、当該事象の改善を図ります。
3-3 安全に関する社内啓発活動
弊社は、SMSをより有効で効果的なものにしていくため、社員の理解促進と意識向上に向けた種々の安全啓発活動を継続的に実施しています。
2017年度の活動内容
- 新年度安全ポスターを作成、掲示
- 社員の非常救難対策訓練への参加
- 社員による他社安全啓発施設の見学
- 社内安全講演会の開催
「現場力と理念による勝てる組織の創り方」と題して、社外講師による講演会開催 - 安全啓発誌「Safe DO」の発行
- 「機内緊急事態発生時の援助方法」出前講座の実施
緊急時に求められる最低限必要な知識を確認し理解を深めるため、全社員を対象に実施 - 全社員を対象とした安全調査アンケートの実施
- 安全教育
新年度安全ポスター
「機内緊急事態発生時の援助方法」出前講座
3-4 使用機材および輸送実績
使用機材情報
機種 | 機数 | 座席数 | 平均年間飛行時間 (注1) | 平均年間飛行回数 (注1) | 導入開始時期 | 平均機齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
B767-300 | 4 | 286~289 | 3,465 | 2,159 | 1998.03.27 | 21.4 |
B737-700 | 9 | 144 | 2,939 | 1,796 | 2012.10.23 | 11.1 |
弊社全体の平均機齢:16.2年
- 注1:
- 平均年間飛行時間・平均年間飛行回数
それぞれ年間の飛行時間と飛行回数を、B767-300型式については4機、B737-700型式については9機で除した値です。(2018年3月31日時点)
機種別輸送実績 (注1)
機種 | 便数 | 座席キロ (注2) | 旅客キロ (注2) |
---|---|---|---|
B767-300 | 8,619 | 2,313,836 | 1,636,603 |
B737-700 | 16,055 | 2,260,155 | 1,626,032 |
路線別輸送実績(注1)
路線 | 便数 | 座席キロ (注2) | 旅客キロ (注2) |
---|---|---|---|
羽田 ⇔ 札幌 | 7,865 | 1,704,377 | 1,274,640 |
羽田 ⇔ 旭川 | 2,177 | 640,869 | 438,584 |
羽田 ⇔ 函館 | 1,431 | 246,719 | 180,421 |
羽田 ⇔ 女満別 | 1,469 | 294,040 | 211,676 |
羽田 ⇔ 帯広 | 2,158 | 329,151 | 217,131 |
羽田 ⇔ 釧路 | 1,440 | 213,996 | 159,381 |
札幌 ⇔ 仙台 | 3,006 | 287,422 | 202,193 |
札幌 ⇔ 岡山 | 709 | 129,254 | 88,638 |
札幌 ⇔ 神戸 | 1,445 | 260,308 | 169,164 |
札幌 ⇔ 広島 | 411 | 80,549 | 61,180 |
札幌 ⇔ 中部 | 1,848 | 288,465 | 191,153 |
函館 ⇔ 中部 | 715 | 98,842 | 68,474 |
- 注1:
- 上記輸送実績には、ANAとのコードシェア運航に伴う座席販売分を含みます
- 注2:
- 座席キロ : 各飛行区間の提供座席数にその区間の距離を乗じたもの
旅客キロ : 各飛行区間の有償旅客数にその区間の距離を乗じたもの
(単位:千座席キロ・千旅客キロ)
- 2017年10月28日 札幌広島線廃止
- 2018年03月24日 札幌岡山線廃止
4.運航上のトラブル発生状況等
航空法第111条の4の規定に基づき、本邦航空運送事業者は、航空機の正常な運航に安全上の支障を及ぼす事態(事故、重大インシデント、その他の安全上のトラブル)を国に報告することが義務付けられています。
4-1 事故
弊社は、創業以来、航空事故(注)の発生はありません。
- (注)航空事故
- 航空法第76条、航空法施行規則第165条の2および第165条の3で定める、航空機の運航によって発生した人の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突または火災、航行中の航空機の損傷(その修理が大修理に該当するもの)などの事態が該当し、国土交通省が認定するもの。
4-2 重大インシデント
弊社は、創業以来、重大インシデント(注)の発生はありません。
- (注)重大インシデント
- 航空法第76条の2、航空法施行規則第166条の4に定める、航空事故には至らないものの、事故が発生するおそれがあったと認められるもので、航行中他の航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認められた時、滑走路からの逸脱、非常脱出、機内における火災・煙の発生および気圧の異常な低下、異常な気象状態との遭遇などの事態が該当し、国土交通省が認定するもの。
4-3 安全上のトラブル(義務報告)
2017年度に弊社が国に報告した「安全上のトラブル」(注)は37件でした。いずれの事象も原因を分析し、必要な対応と再発防止策を実行しています。
発生した全ての「安全上のトラブル」に対して、担当部署において原因の調査分析を行い、必要な改善、対策を進め、再発防止に取り組んでおります。
- (注)安全上のトラブル(義務報告)
- 航空法第111条の4、航空法施行規則第221条の2第3号、第4号に定める、航空事故や重大インシデント以外の、その他の航空機の正常な運航に安全上の支障を及ぼす事態で、国土交通省への報告が義務付けられたもの。
これらのトラブルが積み重なった場合には事故を誘発することにもなりかねないものの、個々のトラブルは航空機の安全運航にほとんど影響がなく、直ちに航空事故につながるものではありません。
トラブル別の発生状況
報告内容 | 件数(内訳) |
---|---|
システムの不具合 | 6 |
・安全上重要なシステム(発動機、プロペラ、回転翼及び補助動力装置)が正常に機能しない状態となった事態 | (2) |
・警報機能の機能喪失 | (1) |
・燃料搭載量の表示が喪失又は誤表示となる燃料油量計系統の故障 | (2) |
・離陸時に、臨界点速度付近又は臨界点速度を超えた速度で発生した安全を損なう又はそのおそれのある事象(離陸中止、発動機出力の低下、タイヤの破損等) | (1) |
非常用の装置の故障 | 12 |
・非常脱出口の故障 | (2) |
・非常用照明灯の一部不点灯 | (4) |
・非常用装置、非常用装備品の故障 | (6) |
規定値を超えた運航 | 2 |
・経路または高度からの著しい逸脱 | (2) |
機器からの指示による緊急の操作など | 4 |
・航空機衝突防止装置(TCAS) (注1)の回避指示に従った回避操作 | (3) |
・対地接近警報装置(GPWS) (注2)の警報に基づく回避操作 | (1) |
その他 | 13 |
・運送不可物品の輸送 | (3) |
・航空機構成部品の外れ | (1) |
・航空機に対し整備又は改造したにも関わらず、適切な認定事業場等による確認を得ず運航した事態 | (2) |
・運用許容基準の適用が不適切な状態で運航した事態 | (6) |
・装備品または部品の誤った取付け | (1) |
総件数 | 37 |
- 注1 航空機衝突防止装置(TCAS)
- 自機の周辺に他機が存在することを運航乗務員に知らせ、かつ回避操作を自動的に指示するものです。通常の管制指示による運航の場合でも、他機との位置関係等により作動することがあります。
- 注2 対地接近警報装置(GPWS)
- 航空機が地表や海面に接近した場合に運航乗務員に警報を発する装置ですが、危険がない場合でも地形等により作動することがあります。これらは、機器の指示に従って運航乗務員が適切な操作を行うことにより、安全上の問題が生じない設計となっており、いずれのケースでも、機器の指示に従った適切な操作が行われています。
具体例
航空機Aが高度31,000フィートを巡航中、航空機Bが30,000フィートで水平飛行に移行する予定で上昇していく状況において、TCAS装置は、航空機Bが水平飛行に移る予定であることまでは認識できないために、航空機Bがそのまま上昇を続けて航空機AとBが接近してしまう可能性を排除するため、安全上指示を行います。
機種別の発生状況
4-4 イレギュラー運航(航空局基準)
2017年度のイレギュラー運航 (注)の発生はありませんでした。
(注) イレギュラー運航
イレギュラー運航とは、航空機の多重化されたシステムの一部のみの不具合が発生した場合に乗員がマニュアルに従い措置したうえで万全を期して引き返しなどを行った結果、目的地などの予定が変更されたものなどを指します。一般的には運航の安全に直ちに影響を及ぼすような異常事態ではありません。
具体的には、次のような場合が、イレギュラー運航に該当します(ただし、航空事故又は重大インシデントに該当する場合を除きます)。
- 離陸後に目的地を変更した場合(機材の不具合等によるものに限ります。)
- 出発地に引き返した場合(機材の不具合等によるものに限ります。)
- 航空交通管制上の優先権を必要とする旨を通報した場合(機材の不具合等によるものに限ります。)
- 航空機が他の航空機又は物件と接触した場合
- 航空機が滑走路から逸脱した場合
- 滑走路を閉鎖する必要があるような運航があった場合(滑走路点検のために閉鎖するものを除きます。)
5.2017年度の取り組みと次年度安全指標・安全目標値
5-1 国からの命令・指導等
2017年度、弊社が国土交通省から受けた行政処分、行政指導等はありませんでした。
5-2 安全指標・安全目標値
安全指標並びに安全目標値を下記の通り設定しました。また、安全指標達成のため、以下の取り組みを実施しました。
2017年度 安全指標・安全目標値
安全指標 | 安全目標値 | |
---|---|---|
① | 事故・重大インシデント | 0件 |
② | VOICESへの報告件数 | 2016年度実績以上 |
③ | 出前講座(機内緊急事態発生時の援助方法) | 2019年度末受講率100% ※2017年度率34% |
安全目標値を達成するための具体的取り組み事項と実施状況
- 事故・重大インシデント 0件
事故・重大インシデントは弊社の就航(1998年12月)から現在まで0件に抑えることが出来ています。 - VOICESへの報告件数 前年実績以上 2016年度実績以上
VOICESへの報告件数については、2016年度の実績23件以上を達成出来ず、報告件数は10件でした。 - 出前講座(機内緊急事態発生時の援助方法) 2019年度末受講率100%
各職場の積極的な参加により、年度の目標値であった34%を上回る63.7%の受講率でした。
5-3 2018年度トピック
安全指標並びに安全目標値を下記の通り設定しました。
2018年度 安全指標・安全目標値
安全指標 | 安全目標値 | |
---|---|---|
① | 事故・重大インシデント | 0件 |
② | VOICESへの報告件数 | 過去最高の23件以上 |
③ | 出前講座(機内緊急事態発生時の援助方法) | 2019年度末受講率100% ※2018年度率90% |
- (注) VOICES「航空安全情報自発制度」
- 2014年度に国土交通省航空局の「航空安全プログラム」が開始されたことに伴い始まった安全情報の報告制度。
「事故・重大インシデント0件」については、航空会社の最大の使命として、昨年度に引き続き安全指標・安全目標値に掲げています。
また、VOICESへの報告件数についても引き続き安全指標として設定し、過去最高の報告件数以上の報告を目指します。
客室部による出前講座(機内緊急事態発生時の援助方法)は、より実践に即した形への深化を図り、2019年度末の受講率100%達成に向け、積極的な受講に取り組みます。
今年度も社員一丸となって「日本一安全な航空会社」を目指します。
2017年度 安全報告書
株式会社AIRDO
編集:安全推進室 安全推進部