搾りたての新鮮な生乳と羊蹄山麓の食材を使ったグルメを味わう「ニセコ髙橋牧場」(1)
搾りたての新鮮な生乳と
羊蹄山麓の食材を使ったグルメを味わう
「ニセコ髙橋牧場」(1)
2025.1.8
きれいな水と肥沃な大地に恵まれた北海道ニセコ町。アウトドアだけでなく、良質な食が育まれるまちとしても知られています。そこで今回は、搾りたての生乳や羊蹄山麓の食材を使ったメニューを提供する「ニセコ髙橋牧場」を訪問。同牧場の歴史をうかがいながら、羊蹄山を一望できる絶好のロケーションで、絶品グルメを楽しんできました!
※本記事は2024年9月時点の情報です。ご来店の際は公式サイトで最新情報をご確認ください。
※価格はすべて税込みです。
生乳価格の暴落がきっかけで始まった商品づくり
ニセコモイワスキーリゾート、ニセコアンヌプリ国際スキー場、ニセコビレッジスキーリゾートなど、ニセコ町を代表するスキー場が点在するエリアに、多くの観光客が訪れる牧場があります。それが「ニセコ髙橋牧場」。ニセコ町を訪れた際は必ず立ち寄りたい人気グルメスポットです。
髙橋牧場は、長年にわたり生乳の販売を生業としていましたが、1996年に自牧場で搾った生乳を加工・販売するための施設を建設。1次産業である酪農を営みながら、2次産業の製造、3次産業の小売業も行なう、「6次産業化」へと踏み切りました。6次産業化という言葉も概念もなかった、はるか前のことです。
店長代理の高井啓さんは言います。
「1990年代の始めごろ、生乳の需給バランスが崩れ、価格が暴落しました。ですが、毎日、搾乳はしないといけません。生産量の調整により、受け入れてもらえなかった生乳は廃棄するしかありませんでした。このままでは酪農家として生き残れない。何としても搾った生乳を活かしたいという思いから、加工・販売を決断したと聞いています」
そこで、生乳をたっぷり使った牧場ならではの商品を作ろうと、1997年にアイスクリームづくりをスタート。敷地内に建てた「ミルク工房」にて販売したところ、生乳の消費量がアップしました。
さらに、のむヨーグルト、プリン、ロールケーキと、生乳の美味しさを感じられる商品が続々と増えていきます。
その中でも、髙橋牧場の名が広まり、一躍、ニセコを代表する人気スポットへと導いた商品は、2004年に登場した「こだわりシュークリーム」でした。
酪農家が作る、トロトロクリームのシュークリーム
「シュークリームが完成したとき、有名ホテルのパティシエに試食してもらったのですが、『こんなゆるいクリームはダメだよ』と批判的な反応でした。だからこそ、それをウリにしようと決めました。当時、養鶏農家さんが作る、卵たっぷりのプリッとしたクリームのシュークリームが流行っていました。ならば酪農家が作る、生乳たっぷりのトロトロしたクリームのシュークリームを発信しようと思ったんです」と、高井さん。
搾ったばかりの新鮮な生乳を贅沢に使った、トロットロのクリームが入ったシュークリーム。ひと口頬ばると、あふれ出るクリームから広がる、甘くて濃厚なミルクの香りが鼻をくすぐります。まるで、シュー皮にミルクを閉じ込めたような味わい。
あまりにクリームがみずみずしいため、作り置きができません。焼きたてサクサクのシュー皮と、トロットロのクリームのコンビネーションを楽しんでもらいたいと、注文が入ってから1つずつシュー皮にクリームを詰めます。
目の前でクリームを詰める様子を眺める楽しさと、当時は珍しかったトロトロクリームの口あたり、芳醇なミルク感が評判となり、一番の集客商品に。1日に2000個を販売したときもあり、今なお、「髙橋牧場といえばシュークリーム!」と、ファンが後を絶ちません。
まだまだある!ミルク工房おすすめ商品
「近年、シュークリームよりも販売個数を伸ばしているのが、ニセコチーズタルトです」と、高井さん。
こちらも新鮮な生乳をふんだんに使っているため、チーズフィリングがとろ~りとしており、口の中で溶けていくよう。甘さも程よく、チーズの風味の後にやってくるミルキーな味わいに、手が止まりません。
そして、より生乳の美味しさを感じたいなら、ソフトクリームがおすすめ。
生乳本来の味を活かすため、余計なものは極力入れず、低温殺菌で製造。素材の味がダイレクトに伝わるからこそ、生乳の質にとことんこだわっています。牧場発だから出来ること。
口あたりはさらり。後味はさっぱり。食べ終わっても甘さが口の中に残りません。暑い夏の日はもちろん、空気が乾燥し、ちょっと喉をうるおしたいときにもいいな、と思いました。
お土産には、ぜひ「のむヨーグルト」をどうぞ。
酸味と甘さのバランスがよく、濃厚でまろやかな喉ごし。
土づくりからこだわった牧草を食べ、たっぷりの愛情をこめて育てた牛から搾った生乳。それを丹念に発酵させて作った商品。まさに、心のこもった牧場の味です。
ほかにも、バター感がたまらない「ニセコ窯焼バターフィナンシェ」(1150円) 、倶知安産ななつぼしの米粉を使った「米粉とミルクのクッキー」(10枚920円) など、長距離の持ち運びに最適な焼き菓子も評判です。
<DATA>
ニセコ髙橋牧場
住所:虻田郡ニセコ町曽我888-1
TEL:0136-44-3734
営業時間:ミルク工房9:30~18:00(ケーキの販売は10:00~)※冬季(11月中旬~翌3月ごろ)は10:00~17:30
定休日:年末年始
公式サイト:https://www.niseko-takahashi.jp/
次の記事では、髙橋牧場内にあるレストランやピザ店、チョコレート専門店をご紹介します。
搾りたての新鮮な生乳と羊蹄山麓の食材を使ったグルメを味わう「ニセコ髙橋牧場」(2)
企画・制作:株式会社monomode
取材・編集:宮本 育
撮影:須田守政(FIXE)