【道東"乾杯"ガストロノミー旅(前編)】
十勝ワインの聖地「ワイン城」と
幻の赤牛「いけだ牛」に酔いしれる
【道東"乾杯"ガストロノミー旅(前編)】
十勝ワインの聖地「ワイン城」と
幻の赤牛「いけだ牛」に酔いしれる
2025.12.2
広大な十勝平野で、ワインと美食に酔いしれる旅へ出かけませんか?
北海道におけるワインづくりの礎を築いた「池田町ブドウ・ブドウ酒研究所(ワイン城)」で十勝ワインを知り、老舗レストランで「いけだ牛」のステーキに舌鼓。東北海道のお酒と食をめぐる「道東ガストロノミー旅」、第一弾は十勝エリアからスタートです!
※本記事は2025年10月時点の情報です。おでかけの際は公式サイトで最新情報をご確認ください。
明治期から始まった北海道のワインづくり
北海道でのワインづくりは、1876年に「札幌葡萄酒醸造所」が設立されたことから始まりました。しかし、人気が振るわず1913年に廃業します。
そこからしばらく北海道でのワインづくりは中断されましたが、1963年に「十勝ワイン」が誕生。その後、1972年に「ふらのワイン」、1973年に「はこだてワイン」と続きます。
2000年以降、日本ワインブームの追い風もあり、若手生産者や異業種からの新規参入が活発化。加えて、気候変動の影響により北海道でも質の良い欧州系ワイン用ブドウを栽培できるようになり、10年ほど前は30軒ほどだった北海道のワイナリーは、75軒(2025年10月現在)にまで増加。国内外から注目を集める"ワインの産地"として盛り上がりを見せています。
十勝ワインの聖地「ワイン城」へ。本格的な北海道でのワインづくりはここから始まった
極寒!-30℃の試練。まちを救った奇跡のブドウ「山幸」誕生秘話
そこで向かったのが、とかち帯広空港から北東へ約40km、十勝ワインを製造する日本初の自治体ワイナリー「池田町ブドウ・ブドウ酒研究所」(以下、ワイン城)。北海道に現存するワイナリーの中でもっとも古い、北海道におけるワインづくりの草分け的存在です。
十勝ワインの歴史は1960年から始まります。相次ぐ自然災害により財政危機に陥ったまちを救おうと、町役場の職員がワインづくりのため、ブドウ栽培に取り組んだのがきっかけでした。しかし、ブドウは寒さに弱い作物。冬は-30℃にもなり、春や秋には霜害も起こる十勝では育てられません。
池田町ブドウ・ブドウ酒研究所、営業課の一戸竜也さんは言います。
「まずは、十勝でも栽培できるブドウを開発することから始まりました。比較的、寒さに強いセイベルというブドウの苗をフランスから輸入し、5年間にわたってクローン選抜をして独自品種『清見(きよみ)』を開発。ですが、この『清見』もいまだ越冬が難しいんです。寒さから樹を守るため、収穫後にブドウの樹を土に埋め、春にはまた掘り出す必要があり、なかなか生産性が上がりませんでした」
そこで注目したのが、十勝の寒い山野でもたわわに実る山ブドウ。これに「清見」を交配して生まれたのが、「山幸(やまさち)」と「清舞(きよまい)」です。特に「山幸」は色が濃く、山ブドウならではの野趣あふれる渋みと味わいが感じられる、これまでにない品種。2020年には「国際ブドウ・ワイン機構(OIV)」のリストに登録されました。
さらに、2022年1月には赤ワイン用品種「未来(みらい)」と、白ワイン用品種「銀河(ぎんが)」が新たに国内品種として登録。
「これまで私たちが試作したブドウ品種、約2万1000種のうち、国内品種登録されたのは4品種のみ。苗木から3年かけて育ててブドウの実を収穫し、ワインにしてテイスティングするという途方もない歳月を経ても、ダメなものはダメとなってしまう。先駆者たちの地道な努力に頭が上がりません」
まちの財産でもある独自開発した山幸や清舞などの苗は、自宅で栽培したい方やプロの就農者さんなどにも販売。寒冷地でも栽培できるブドウが生産者さんに広がったことで、道東エリアにワイナリーが増えるきっかけにもなりました。
ワイン城見学、試飲などを楽しんだ後は、4階のレストランへ
ワイン城では、十勝ワインの歴史や、ワインやスパークリングワイン、ブランデーの製造施設を見学できるほか、ショップエリアにて試飲をすることもできます。
ひとしきり城内観光を堪能した後は、4階にある「ワイン城レストラン」で十勝ワインと地元食材のペアリングを楽しみましょう。
おすすめは、「オードブル盛り合わせ」と「ドナルドサーモン・カルパッチョ」。
池田町・阿部農場の十勝産黒豚を使った、自家製ハムやテリーヌなどを盛り合わせたオードブル。自家配合した飼料とストレスを軽減した環境で飼育するため、まろやかな肉質とコクのある甘みが口に広がります。
こちらは、池田町・竹中水産のドナルドサーモン(ニジマスの一種)を使用。湧き水で養殖しているので、生食でも安心して食べられます。発注してからさばいて納入されるため、とにかく新鮮。通年で脂ののったプリプリの身を味わえます。
これらとぜひ一緒に味わいたいのが、ワイン城限定の「夕映えの城 白」です
ケルナー種とミュラートゥルガウ種を使用した、さわやかな酸味と、ほのかな甘みを感じられる、やや甘口の白ワイン。フルーティな風味が素材の味を引き立てます。
ほかにも、十勝ワインの中でも古くから取り扱っているブレンドワイン「セイオロサム 白(グラス830円)」もシェフおすすめです。
ワイン城レストランでは、土曜限定で「夕映えディナー(3800円~)/完全予約制)も実施。
暮れゆくまちを背景に、運が良ければタンチョウヅルが群れで飛ぶ様子も見られるそう。
十勝ワイン、地元の食材を使った料理、そして絶景のマリアージュは格別です。
◆池田町ブドウ・ブドウ酒研究所(ワイン城)
住所:北海道中川郡池田町字清見83-4
TEL:ワイン等製品015-572-2467、観光・売店015-578-7850、レストラン015-578-7857
開館時間:9:00~17:00、レストラン10:30~17:00(LO16:30)※毎週土曜は20:00(LO19:00)まで「夕映えディナー」を開催。前日の17:00まで要予約
定休日:年末年始/レストランは火曜日
入館料:無料
公式サイト:https://ikeda-wj.org/
老舗洋食店「レストランよねくら」で、十勝ワインといけだ牛を心ゆくまで味わう
「いけだ牛」を十勝ワインで仕上げる。「レストランよねくら」での究極のペアリング体験
十勝・池田町を訪れたら、もう一つ、ぜひ味わいたいものがあります。それは「いけだ牛」。
十勝ワイン製造の副産物である、ブドウの搾りかすなどを与えて育てており、サシは控えめ、噛めば噛むほど甘みを感じられる赤身が特徴の赤牛。
なかなか流通していませんが、「レストランよねくら」で食べることができます。
レストランよねくらは、1905年創業。もともとはJR池田駅にて名物・バナナ饅頭と駅弁の立ち売りを行なっていましたが、1976年に飲食店へ転身。
代表取締役の米倉寛之さんは言います。
「ワインを目当てに訪れる観光客に、ワイン城でつくる十勝ワインと、地元で飼育された牛肉を味わってもらいたかったというのが理由で飲食店を始めました。そこで、いけだ牛の取り扱いを開始。まだ、"いけだ牛"というブランド名もなく、認知もされていない以前から提供しています。とにかく、池田町の特産品を使って、多くの人にまちの魅力を伝えたかったんです」
イチオシは、もちろん「いけだ牛のサーロインステーキ」。そして、それに合わせるのは「十勝ワイン」。
手際よく準備をし、よく熱した鉄板にいけだ牛を投入。秒単位で変わる肉の様子を確認し、熟練の勘で程よい焼き加減を見極めます。
決め手は、仕上げに使う十勝ワイン。肉質をやわらかくし、脂のキレがいい、さっぱりとした後味に。これにより、いけだ牛のジューシーな肉汁と、芳醇な十勝ワインが打ち解け合うんです。
注目!ワイン城で買ったお気に入りワインを持ち込みOK!
同店では、いけだ牛サーロインステーキに合わせるワインを、ワイン城で購入して持ち込むことができます。ワイン城渾身の品種「山幸」など、自分だけの特別なペアリングをぜひ楽しんでみてはいかがですか?
◆レストランよねくら
住所:中川郡池田町大通1丁目27
TEL:015-572-2032
営業時間:9:00~17:00(LO16:00)
定休日:木曜日
公式サイト:https://restaurant-yonekura.com/
※2026年1月より事業形態が変更になる可能性があるため、来店前に公式サイトをご確認ください。
北海道のワインと一緒に楽しめるグルメについてはこちら
北海道に酔いしれて
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次記事では釧路エリアに足を伸ばして、鶴居村のブルワリーと厚岸町の蒸溜所を訪問します!
【道東"乾杯"ガストロノミー旅(後編)】ビールでつながる「Brasserie Knot」と北の海霧が琥珀を育む「厚岸蒸溜所」を訪れる
※価格はすべて税込です。
※本記事は2025年10月時点の情報です。おでかけの際は公式サイトで最新情報をご確認ください。
企画・制作:株式会社monomode
取材・編集:宮本 育
撮影:須田守政(FIXE)

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