大雪山を背景にした雄大な田園風景と、心をこめたクラシックスイーツでもてなす「お菓子喫茶みうら」

大雪山を背景にした雄大な田園風景と、
心をこめたクラシックスイーツでもてなす
「お菓子喫茶みうら」

2024.12.27

北海道のほぼ中央に位置し、旭岳をはじめとする2000m級の山々が連なる大雪山連峰を望むまち・北海道東川町。近年、このまちに移住する人が増えています。今回ご紹介する「お菓子喫茶みうら」のオーナーもその1人。東京やフランスにて19年間、パティシエとして活躍後、2024年7月に同店をオープン。のどかな田園の中にたたずむおしゃれなお店にお邪魔してきました!

※本記事は2024年9月時点の情報です。ご来店の際は公式サイトで最新情報をご確認ください。
※価格はすべて税込みです。

東川町の自然と水に魅せられて、東京から移住

旭川空港から北東へ、のどかな田園風景の中を走ること約15分。ベージュ色の建物が見えてきます。それが、2024年7月にオープンした「お菓子喫茶みうら」。2階に喫茶店を併設した、焼き菓子専門店です。

▲お菓子喫茶みうら

オーナーの内山智之さんは静岡県出身。製菓学校を卒業後、19年間、東京の名店やフランスのレストランなどでパティシエとして腕を磨いていました。

▲オーナー 内山智之さん

「ある時期から独立を考えていましたが、当時はまさか北海道で開業するとは思っていませんでした」と、内山さん。

▲店内のどこにいても田園風景が目に入る造り
▲発酵菓子・クグロフの飾り型などの雑貨が彩る

内山さんと東川町との出会いは、ふと思いついた富良野・美瑛への家族旅行がきっかけでした。そこで、独立後の店づくりの参考にと、観光名所だけでなく、菓子店やカフェもめぐることにしたそうです。

▲ナチュラルテイストの落ち着く店内

「当時、妻の弟が札幌に住んでいて、将来はカフェを開業するのが目標だったため、お店をいろいろ知っていたんです。それで、どこか良いお店はあるかと聞いたら、『それなら東川町に素敵なお店があるから行ってみる?』という話になって。美瑛からも近いので立ち寄ることにしました」

弟さんに案内され、東川町を訪れると、内山さんは大きな感動に包まれたそうです。

▲晴れた日には、2階の喫茶店から大雪山連峰を望める

「広い田園があって、その先に大雪山連峰。今まで見たことのない風景が広がっていて、純粋に心を揺さぶられました。こういうところでお店をやるのもいいなと思いました」

▲大雪山の雪どけ水は「平成の名水百選」に選ばれている

さらに、「水」の美味しさも内山さんの背中を押しました。東川町は全国でも珍しい上水道のないまちで、生活用水として利用しているのは、大雪山の雪どけ水が長い年月をかけて地中深くまでしみ込み、きれいにろ過された地下水です。

「自分の店を持った際は、弟と一緒に喫茶店もやろうと決めていたので、水はとても重要でした。東川町は、蛇口をひねれば天然水が出てきます。しかも、コーヒーの香りが立ち、味わいがまろやかになる中硬水。開業するならここしかないと気持ちが固まりました」

▲喫茶店で提供するコーヒーは弟さんが自ら焙煎したもの

東川町の魅力がつまったスイーツを提供

2階の喫茶店ではコーヒーのほかに、東川町の水の美味しさを感じられるメニューがあります。それが、「水とカカオのかき氷」(1000円) です。

▲「水とカカオのかき氷」

エクアドル産65%の高カカオチョコレートを使用した氷菓子ですが、かき氷といえどそれとは似て非なるもの! 華やかなフローラルの香りとともに、口の中で淡雪のように消えていく、冷たいチョコレート! まるで、フランス料理の食後のデザートのような一品です。

▲削っているそばからカカオの香りが立つ

「チョコレートに東川町の水をブレンドした氷種を作り、それをかき氷マシンで削りました。このまちでしか作れないメニューです」

上品な香りと、あっさりとしたくちどけは、美しく澄んだ大雪山の水だからこそ実現したもの。通年で味わうことができ、今後はカカオの品種を変えたさまざまなバリエーションが入れ替わりで登場する予定です。

▲お店の看板メニューになりそう
▲9月の「ひがしかわパフェ」。雪川醸造のロゼワインを使用

ほかにも、東川産のお米、雪川(ゆきかわ)醸造のワイン、三千櫻(みちざくら)酒造の酒粕といった、東川町ゆかりの素材を使った「ひがしかわパフェ」も月替わりで提供。

▲時間を忘れてしまうほど、くつろげる空間

春夏秋冬の景色を眺めながら味わえば、また格別です。

どこか懐かしい、クラシックな焼き菓子がずらり

「かき氷やパフェを提供していますが、僕の得意菓子は焼き菓子です。製菓学校を卒業後、最初に勤めたお店が焼き菓子専門店で、以来、ずっと焼き菓子を作ってきました」と、内山さん。

▲カウンターに出来たての焼き菓子が並ぶ
▲「ピスタチオと苺のビクトリアケーキ」(500円)

内山さんがパティシエを目指したのは、お母様がきっかけだったと言います。小学生のとき、お菓子を作るお母様の様子を見ているのが、好きだったそう。

いつもとは違う日常。キッチンにただよう甘い香り。出来上がる瞬間を待つわくわく感。
店内に並ぶお菓子を見ていると、瞳を輝かせてのぞき込む、内山少年の姿が目に浮かぶようでした。

▲「檸檬ケーキ」(400円)

おすすめは、焼き菓子の王道である「マドレーヌ」(350円) 。

▲手前が「マドレーヌ」。ぷっくりした見た目がかわいい

一般的なマドレーヌよりも深い型を使っているため、厚みがあり、しっとりとした食感。風味も贅沢で、バターのコクとともに、レモン、バニラ、ハチミツそれぞれの香りが口の中に広がります。ギフト用の個包装されたマドレーヌも販売しているので、そちらと食べ比べるのも楽しいかも。

▲個包装しているので、お土産にぴったり

ギフト用の焼き菓子は、パウンドケーキやサンドクッキー、ビスケットなど、全10種(200円~)を用意。これからますますラインナップが増えるとのことです。

化粧箱は、5個用(300円)、10個用(400円)、15個用(500円)があり、ラッピングはシンプルなので、用途を選びません。

▲こちらは10個用の化粧箱

奥様のお祖母様が営んでいた「三浦商店」にちなんで、店名を「みうら」にしたと、内山さん。

「三浦商店は、近所の人が買い物に来るというよりは、おしゃべりをしに集まるようなお店だったと聞いています。妻はその光景を幼少期から見ていて、お店をやるなら三浦商店のように、誰もが気軽に集える雰囲気にしたいというのが夢でした。その夢に向けて、妻や弟と一緒に進んでいきたいです」

▲お菓子とコーヒーとギフトのお店「お菓子喫茶みうら」

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お菓子喫茶みうら
住所:上川郡東川町西10号北26番地
TEL:0166-76-6410
営業時間:10:00~18:00(喫茶LO17:30) ※冬期(11月~翌3月)は10:00~17:00(喫茶LO16:30)
定休日:水曜日、木曜日、不定休
公式サイト:https://miura-okashi-kissa.com/

企画・制作:株式会社monomode

取材・編集:宮本 育

撮影:須田守政(FIXE)

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