北海道最古の商店街・狸小路の「狸小路市場」は、
味も雰囲気も抜群のイイ店揃い!(3)

北海道最古の商店街・狸小路の「狸小路市場」は、
味も雰囲気も抜群のイイ店揃い!(3)

2024.11.29

前回と前々回の記事では、大衆酒場や中華の人気店など、比較的にぎやかなお店を紹介してきましたが、狸小路市場には大人が静かに飲めるお店も色々とあるのです。今回は少し趣向を変えて、しっぽり飲めるおでん屋さんと、隠れ家的なジンギスカン店を巡ってみました。

※本記事は2024年11月時点の情報です。実際の来訪の際には電話、店舗SNSなどで最新情報をご確認ください。
※価格はすべて税込みです。

ダシの染みたおでんにほっこり「おでんと肴 ちくわ」

狸小路側から入ってすぐの右手にある「ちくわ」は、木板の外壁に縄のれんという見た目からしてちょっと大人な雰囲気。店内もほかの狸小路市場の店舗より少しゆったりとした造りで、木目が美しいカウンターに座ってじっくり、丁寧に炊かれたおでんや気の利いた酒肴を楽しむことができます。

▲縄のれんの合間から、思わず中をのぞいてみたくなるたたずまい
▲ホテルの厨房などで経験を積んできた店長の渡邉大佑さん

素材の味を生かした、薄口の塩おでん

おでんは「だいこん」や「ちくわぶ」などの定番と季節ものを合わせて24種ほどが揃い、そのほか「あじ刺し」「春菊の胡麻和え」などお酒が進みそうなおつまみもメニューに並びます。あごだしと塩で薄口に仕立てたおでんは、食材のおいしさをしみじみ感じられる上品な味わい。奥行きがありつつすっきり澄んだ旨味で、このダシだけでもお酒が飲めちゃうぐらいです。春の山菜、冬のタチなど、季節ごとの食材が楽しめるのもうれしいですね。

▲清涼な香りとみずみずしい歯応えがたまらない「みつば」(350円) と、程よい濃さの「牛すじ」(990円)

隠れ看板メニューの「とろたく」もぜひ!

おでんと並んで常連客に人気なのが、中トロとタクワン、ネギを刻んで合わせた「とろたく」です。贅沢にも生本マグロの中トロを使う同店の「とろたく」は、上質なマグロならではの旨味と甘味に「とろたくって、こんなにおいしいんだ!」ときっと驚くはず。ワサビをのせて海苔で巻き、チョンと醤油につけて頬張れば、もうお酒が止まりません。日本酒は灘の名酒・褒紋正宗などで燗酒500円~、冷酒600円~。腰を落ち着けて、ゆっくり楽しみたいお店です。

▲マグロの旨味とタクワンの食感・塩味、ネギの香りに恍惚となる「とろたく」(2000円)

<DATA>
おでんと肴 ちくわ
住所:札幌市中央区南3条西6丁目 狸小路市場内
TEL:011-233-1717
営業時間:17:00~23:00(LO22:15)
定休日:日曜、第1月曜

精肉店直営で仕入れに自信アリ!「じんぎすかん屋 みやした商店」

狸小路市場のグルメ案内、最後を飾るのは昭和39年(1964年)創業の宮下精肉店が直営する「じんぎすかん屋 みやした商店」です。精肉店を営むかたわら、2006年に二代目オーナーの宮下明博さんが一念発起し、ジンギスカン店をオープン。オーストラリア産ラム肉のなかでも程よい霜降りになる大きな羊から厳選するという、肉のプロならではのこだわりの肩ロース肉ジンギスカンが味わえます。

▲ひさしの上に精肉店の看板も
▲店主の宮下明博さん。黒シャツがよく似合うダンディなおじさまです

クセがなくて柔らかなジンギスカン

メニューは上生ラムの肩ロースにラムつくね、キュウリの辛子漬け、野菜(もやし、タマネギ)がつくジンギスカンセットと、セットより少なめの肩ロースに道産生鶏モモ肉、締めのニラソーメンなどがつくジンギスカンコースの2つが基本。肉を追加したい場合は、別途注文するスタイルです。ラム肉の中でも希少な肩ロースのジンギスカンは、クセがなくてしっとり柔らか。すっきりとした店独自のタレにつけて味わうと、ラムの旨味がじんわり口の中に広がっていきます。

▲「ジンギスカンセット」(3300円) 。肉はもちろん、カレー味のラムつくねも美味!
▲表面に焼き色がついたぐらいが食べごろ。固くなるので焼き過ぎには注意

締めのニラソーメンも絶対食べて

肉を食べたあとの締めにおすすめなのが、他のジンギスカン店ではあまり見ない「ニラソーメン」です。香ばしく炒めたニラをソーメンと茹でて、それをゆで汁で割ったジンギスカンのタレで食べる締めメニューで、肉をしっかり食べたあとでもソーメンの優しい口当たりとニラの香りでスルスル胃に収まってしまいます。タレに溶け込んだ肉の脂が旨味になるので、肉をたくさん食べるほど、おいしいスープになるのだとか。

▲すりゴマの香りがより食欲をそそる「ニラソーメン」(770円)

<DATA>
じんぎすかん屋 みやした商店
住所:札幌市中央区南3条西6丁目 狸小路市場内
TEL:011-221-5208
営業時間:17:00~24:00 ※22:00以降の来店は要電話予約、閉店時間は変動あり
定休日:日曜、祝日

前回、前々回と合わせて狸小路市場の5軒を紹介してきましたが、気になるお店はありましたか?各店、雰囲気もおすすめ料理もまったく違う個性派ばかりなので、ぜひ1軒だけじゃなく2軒3軒と飲み歩いてみてください。

企画・制作:株式会社monomode

取材・編集:宮川健ニ(亜璃西社)

撮影:亀畑清隆

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