昭和が香るディープスポット「すすきの0(ゼロ)番地」に潜入!(1)

昭和が香るディープスポット
「すすきの0(ゼロ)番地」に潜入!(1)

2024.9.11

ネオン眩しい北日本最大の歓楽街・すすきのにあって、今なお昭和の風情を色濃く残す飲み屋街「すすきの0(ゼロ)番地」。一見さんが足を踏み入れるのはちょっと躊躇しちゃう雰囲気ですが、思い切って暖簾をくぐれば、実はおいしい料理とお酒が楽しめる魅力的な店がたくさん!一度ハマると抜け出せなくなる(?)、ゼロ番地のディープな世界に潜入します!

※本記事は2024年7月時点の情報です。実際の来訪の際には電話、店舗SNSなどで最新情報をご確認ください。

すすきの中心部の昭和レトロな建物

「すすきの0(ゼロ)番地」があるのは、南北線すすきの駅から徒歩3分ほどの、東西に細長い古い建物の地下です。元々は大正11年(1922年)に札幌第二公設廉売市場が設置された場所で、昭和33年(1958年)、建て替えで地下1階、地上5階の現在の建物に。当初、地下には歯医者や雑貨店があったそうですが、昭和40年代に改装されて「すすきの0(ゼロ)番地」が誕生しました。

▲1階西側には24時間営業のおにぎり屋さん、東側には熱々の肉まんが人気の中華まんじゅう店があります
▲雰囲気があり過ぎる地下飲食店街への入り口。入り口は東西と中央の3か所にあります

地下へと続く階段を降りると......

建物1階は鮮魚店や精肉店が並ぶ「すすきの市場」で、その入り口の横に、ゼロ番地へと誘う真っ赤な看板が......。そのたたずまいに少し圧倒されつつも階段を降りると、蛍光灯の青白い明かりが照らす通路をはさんで、向こう端までずらりとお店が並んでいます。現在は31店舗が入居し、昔ながらのスナックをはじめ焼鳥店やバー、そば店などなど、意外にもさまざまなジャンルの店がそろっています。

▲階段を降りた先にいったい何が待っているのか? そして「歴史空間」とは......
▲まるでここだけ時が止まっているかのような昭和感

一軒目からアタリを引いた予感

さて、まずはどこに入ろうかとお店を探していると、「呑み亭」という酒飲み心をくすぐる看板を発見。入り口には「全道の漁組から新鮮な食材入荷」と大きな文字があり、これは期待大です。さっそく暖簾をくぐってみましょう。

▲威勢のいい大漁旗がお出迎え。ガラス扉で中が覗けるのもうれしいポイントです

元ホテル総料理長のおまかせ料理

「おばんざい酒場 呑み亭」は決まったメニューがなく、その時々に仕入れる旬の食材を、予算や客の空腹具合に合わせておまかせで料理を提供するスタイルが特徴です。煮魚や煮しめなどおばんざい的な料理から本格ローストビーフまで、そのジャンルは多岐にわたります。また、どの料理も、思わず目を見張るほどおいしくてびっくり!それもそのはず、店主の塚原隆さんは元ホテル総料理長という経歴の持ち主。フレンチなど洋食を中心に腕を振るってきたそうですが、なぜ、おばんざいの店に?「フレンチは毎日食べられないけど、おばんざいなら、いつでも気軽に寄れるでしょ?」といたずらっぽく笑う塚原さん。

▲店主の塚原隆さん。店内はカウンター席のほか、半個室風のテーブル席もある
▲煮魚は身がふっくらで、家庭的ながらどこか品の良さも感じさせる味付け

料理人歴50年以上の技が光る丁寧な仕込み

とはいえ、洋食出身の塚原さんは、店を始めるにあたって煮物などの味付けを仲間の和食料理人にチェックしてもらい、アドバイスをもらったそう。ふっくら炊き上がった煮魚は、家庭的でありながら上品な味わいで、日本酒がクイクイ進んじゃいそうです。塚原さんが大切にしているのは、冷凍ものを使わず、季節の味を楽しんでもらうこと。「だから決まったメニューがないのさ。食材ありきだからね」。

もちろん洋食は、さすがのおいしさです!

メニューがないので、初めての人は少し不安かもしれませんが、予算の目安は3000~4000円で品数8~10品ぐらい。プラス飲み物代となります。元洋食シェフだけに、火入れが絶妙な鹿肉のローストやキッシュなどが味わえることも。塚原さんの一流の技術と経験、旬の食材の掛け算で生まれる至福の一皿が、次々と登場します。席数が少なく、仕込みの関係もあるので、来店の際は事前予約がおすすめです。

▲まったくクセがない鹿肉のロースト、付け合わせのカレーリゾット、白ワインシロップに漬け込んだ冷製トマトにキッシュ、どれも絶品でした

<DATA>
おばんざい酒場 呑み亭
住所:札幌市中央区南6条西4丁目 すすきのゼロ番地 地下1階
TEL:011-521-5300
営業時間:17:00~21:00(LO)/定休日:日曜・祝日

怪しげなビル地下に、こんな名店があったとは。次記事でも、ゼロ番地のディープでおいしい世界をご紹介します!

企画・制作:株式会社monomode

取材・編集:宮川健ニ(亜璃西社)

撮影:亀畑清隆

一覧に戻る