北海道の恵みとイタリアの魂が響き合う、田中寿史シェフの哲学

札幌・大通公園にて、北海道各地のさまざまなグルメが楽しめるイベント「さっぽろオータムフェスト」。
7つの会場のなかでも、11丁目会場「PRECIOUS TABLE（プレシャステーブル）」の「さっぽろシェフズキッチン」は、イタリアンやフレンチなど札幌の有名店シェフたちが日替わりで腕をふるう大人気コーナーです。

今年、同コーナーの代表を務めるのは、札幌大通りで本格イタリアンを提供する「Semina（セミーナ）」の田中寿史シェフ。

田中シェフの料理人としての道のりは、札幌、東京での修業を経て、イタリアへ行ったことで大きな転機を迎えます。
そこで田中シェフが目の当たりにしたのは、"地元の食材は地元で使う"という、ごく自然な食の姿でした。

「イタリアでは、日本のような物流システムが整備されていないというのが理由ですが、むしろその不便さが、人間本来の暮らしではないかと気づきました。いつしか、こういう暮らしをしたいと考えるようになり、その想いは、料理人としての礎となっただけでなく、生まれ故郷・北海道に帰る決断にもなりました」

帰国後、札幌の名店「カプリカプリ」や「Sagra（サグラ）」で北海道食材の可能性を追求し、満を持して「Semina（セミーナ）」をオープン。

北海道食材にこだわり、それらの表情を見て、その日の"食材の気分"を嗅ぎ分け、まるで人と会話を交わすように食材と向き合い、火を入れるタイミングや調味料を加える絶妙な間合いを見極める。

そのような繊細なコミュニケーションが食材に命を吹き込み、魅力を最大限に引き出します。田中シェフの料理は、おいしいイタリアンというだけでなく、食材に対する深い愛情が込められているのです。

生産者への熱きリスペクトの想いがイベント参加へのモチベーション

田中シェフは、「カプリカプリ」時代も含めて、通算7回、「さっぽろシェフズキッチン」に立ち続けています。

「さっぽろシェフズキッチン」は、1日に1000食を超えることもある人気コーナーで、同企画への参加は、「寿命が縮む（笑）」と冗談めかすほどの激務。

しかし、それを乗り越えさせるのは、北海道の食や料理人を支える生産者へ感謝を伝えたいという純粋な使命感に他なりません。

田中シェフは言います。

「料理人は、食材がないと何も生み出せません。自分が出したい味を表現できる食材をつくる生産者さんは、音楽家にとって最高の楽器をつくる職人と同じ。単なる食材の供給者ではありません。料理人の創造性を最大限に引き出し、理想の1皿をともにつくり上げる、かけがえのないパートナー。そのような生産者の皆さんへの恩返しの場が、さっぽろシェフズキッチンなんです」

田中シェフがイベント初日に贈る、素材の魅力が存分に伝わる特別な一品

「2025さっぽろオータムフェスト」の幕開けとなる9月12日（金）と、翌13日（土）、「さっぽろシェフズキッチン」に田中シェフが登場します。
初めてのイベント初日の出店という大役を担い、「お客様の期待以上のおもてなしで返したい」と、並々ならぬ情熱をこめて腕をふるいます。

提供するのは、AIRDOとのコラボレーションによる、オホーツク管内・清里町「しのだファーム」の新鮮野菜を使ったメニューのほか、北海道の土地の特徴をいかした「前菜の盛り合わせ」や、空知地方で育った玉ネギ「空知黄のタルト」。さらには、1日限定5食のスペシャルメニュー「黒毛和牛のLボーンステーキ」など。
道産小麦のパンも添えられ、1皿で北海道の恵みをめぐる旅へと誘われるようです。

「常に心がけているのは、食べた人が説明されずとも、その食材の素晴らしさや個性に気づける料理にすること。食材自体が雄弁に語りだす1皿をめざしているので、毎年楽しみにご来場いただいている方はもちろん、始めての方もぜひお立ち寄りください。さっぽろシェフズキッチン一同、お待ちしています」